豊かさが、自信を削っていった理由
豊かさが、自信を削っていった理由
「経験は人を成長させる」そう信じて、これまで多くの体験を重ねてきました。
その体験は、個人的な贅沢ではなく、明確な目的を持ったビジネストリップです。
ビジネスクラスやファーストクラスでの移動、ラグジュアリーホテルでの滞在、特別な扱いを受ける時間。実際にその世界に身を置くことで、仕事として理解する必要がありました。
けれど「これは、今の自分の器に合っているのだろうか」と次第に違和感を抱くようになりました。
与えられた環境は、間違いなく恵まれていました。簡単には行けない場所、手に入らないもの、特別な扱い。
しかし、それらは「自分が積み上げてきた結果」ではありませんでした。
不思議なことに、豊かさが増えるほど、私は自信をなくしました。
・私はここに相応しい人間なのか。
・中身のないまま、高価なものを身につけていないか。
そんな問いが、頭の中で繰り返されるようになりました。
立場や実力、理解が追いつかないまま、見た目だけが先に大きくなり、心のどこかに無理が生まれました。
華やかな場所にいるほど「私はここにいていいのだろうか」と感じる瞬間が増えていきました。
高級なものが悪いわけではありません。問題は、それを支える内側が育っていないことでした。
中身が伴っていない状態では、自分を強くするどころか、足りなさを突きつけてきます。
その違和感が、少しずつ自信を削っていたのだと思います。
ただ選択肢が増え、環境が整う一方で、自分の軸を育てることができませんでした。
「私は何も成していない」「借り物の人生を生きている」そんな感覚が、強くなっていきました。
本来は、
理解する。
積み上げる。
引き受ける。
その先に、体験や豊かさがあるべきだったのだと思います。
私は、器が育つ前に、中身以上のものを先に受け取って、沢山の経験をしました。それが、自信を削る原因でした。
これからは、器を育てます。そして、もう一度その世界に立つ。その時は、同じ景色でも、きっと違って見えるはず。
藤井優奈